副社長のイジワルな溺愛

 香川さんが幸せそうにしていても、大して気にならなくなった。
 あんなに落ち込んでたくせに副社長に甘えて癒されたら、すっかり元通り。新しい恋を見つけたからだとは思うけど、倉沢さんへの想いが過去になったと思うと、その頃の自分が他人のようにも感じる。



【おはよう。今日は遅くなりそうだから、またの機会に誘うよ】

 毎朝送られてくる副社長からのメールをこっそり読み返しては頬を緩め、元気をチャージして仕事に励む。
 副社長が経営の一端を担っている会社だと思うと、今まで以上に愛社精神が湧く。少しでも彼の役に立てるなら、それで満足だ。


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