one’s life~吉木野乃花の人生、全四話~
『直人、そのノート俺が持って行くよ。ちょうど麻美ちゃんに用があるし』

『翼、マジで?助かる。試合前で部活遅れたら先輩にどやされるんだよ』


『大変だな、頑張れよ』


『さんきゅ』


そんなやり取りの後、神宮寺くんはノートを持ち上げた。


『あ、…』


持って行かれるのではないかと思った私は、待ってもらえるよう神宮寺くんに声をかけようとした時、神宮寺くんがノートを差し出してきた。


『俺のだから字汚いけど』

『え?』


『まだ書き終わってないんだろ?』


『あ、ありがと。…あ、でも先生に用事』


『急ぎじゃないから、ゆっくりでいいよ』


『…ありがと』
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