見えない・・心

···覚えていない


先生に関する行事には
  気持ちを必ずつたえた。

バレンタイン・七夕・先生の誕生日
ハロウィーン・クリスマス・・・

そして、先生が初めて家庭教師に来た日。
あらゆる日に、言い訳を込めて・・・

その度に先生は、呆れたような
どうしたものか、というような顔をした。

だが、私は見ない・・
気づかない・・
ようにして過ごしていた。

幼い私でも
わかっていた
先生が・・・
私なんかに興味もない
気持ちもまったくないこと・・・

ただ、自分の気持ちを
どうしたいのか
どうすれば良いのか
わからなかったから
私は、突き進むしかなかった。


かすみちゃんと佑斗君は、
初めは、
私がただ、先生に
憧れているだけだと
思って、笑っていたが
私の過剰な行動に
だんだんと、心配顔になって行った。

パパは、相変わらず
仕事が忙しく
家にいないことが多くて
知らない?・・・
と、私は思っていた。

そんな私も
先生のお陰と、自分自身も頑張って
希望していた高校より上のランクの高校に
合格した。

合格のお祝いに
先生にデートして欲しい
と、お願いしたが
聞きいれてもらえなかった。

自分でもわかっていた。

先生には迷惑なんだと。
かすみちゃんや佑斗君にも
心配をかけていると。
だから、その年のクリスマスイブに
「先生が、来るまで
ずっと、ずっと待ってます。」
と、言った。

先生は、
「榎音、俺は行かない。
 バカなことはやめとけ。」
と、言っていたが
私は、聞こえてないふりをした。


先生は、その日・・・

奥様だと思う女性と
一緒に私の前を通り過ぎた。

私には、わからせるための
行動だったのだろうが・・・

先生は、その女性と
イルミネーションを見ながら
話をして、女性の手をとり
自分の手と繋いでコートにいれて
通り過ぎた。

一瞬だけ目があったが
私は、目を反らした。

先生が去っても
私は、その場を動けずに
そこに坐り混んでしまった。

どのくらいたったのか
かすみちゃんが
私を抱き締めてくれて
叱られながら
連れて帰られたが
私は、あまり覚えていなかった。
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