見えない・・心

···久しぶり


「久しぶりだな、元気だった?」
「ご無沙汰しています。
  はい。元気にしています。」
「理人に嵌められてきたの?」
「うん。親父は出席しないからと」
「そうか、俺が来ないと
思っていたから、来たんだ。」
「ああ、もうそんな意地悪いわないで。
でも、あの時は本当にごめんなさい。
淕を傷つけてしまって。」
「理人に怒ったとか
榎音にイライラしたとかではなく
なぜだか、上手く行かないんだなあ
と、思ってね。
理人に抱き締められて
安心したように寝てる
榎音にショックでなかったわけでは
ないよ。」
「嘘をついたあげくに
あんなところをみられたら
だれでも、落胆するよね。
私もかすみちゃんに
かなり叱られた。
逆の立場だったらと」
「かすみらしいな。
榎音は、結婚してないのか?」
「うん。
私は、また人を傷つけてしまいそうで
怖いの」
「そんなことない。
たまたま、今回は重なっただけだ。」
「今は、看護師の仕事も忙しいし
楽しいからね。
一人で大丈夫。
淕は、結婚してないの?」
「そうか、看護師として
頑張っているんだな。
俺も一人だよ。
結婚には、縁がないのかな?」
と、話していると
ドアをノックされて
入ってきたのは、
かすみと叶夢だった。
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