誰も知らない彼女
なんで親に対してよそよそしい態度をとってしまったの。


本当に自分が情けない。


自己嫌悪におちいる前に自室に入り、ドアを勢いよく閉めた。


そこから歩くことはなく、ドアに体重を預けるようにズルズルと腰を下ろした。


今日はなんだか疲れているみたいだ。


お母さんの目は正かったのかもしれない。


たっぷり睡眠をとれば、いつもどおりの自分に戻れるだろう。


ベッドに入ろうかと思ったが、思うように両足に力が入らない。


さっきのニュースが頭から離れないのか。


い、いいじゃん、べつに。


まだ由良が死んだって決まったわけじゃないのかもしれないし。


ニュースでは由良が死んだって言っていたけど、もしかしたら由良とは違う女子高生が死んだ可能性もあるし。


何度も心の中の自分にそう言い聞かせ、よつんばいになって毛布を手に取る。


毛布を頭まですっぽりかぶり、よつんばいのまま奥のほうに移動する。


なるべくドレッサーの鏡と目を合わせないように必死に動き、壁に背中をくっつけた。


電気をつけていないぶん、不安が大きくなる。


もし本当に由良が死んだなら、次に狙われるのは誰かもうわかる。


連続殺人事件の被害者の中に私の同じグループのメンバーがいたから、私かネネか、もしくは私たちと関係を持つ人だ。


でも、私は死にたくない。


殺人事件に巻き込まれたくないし、関係のある人を見捨てるなんてできない。


連続殺人犯に殺されなくないんだ。


心の中では力強くうなずいたが、犯人に対する恐怖や不安が消えないまま意識を手放した。
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