あずゆづ。

***

着いた公園には、誰もいなくて。

一人ベンチに座って、ゆづくんを待っていた。

どれくらい経っただろうか。
……そろそろ、お仕事終わったかな?


「えへへ、ゆづくんまだかな」


なんでこんなに楽しみなんだろう。

なんでこんなに……ドキドキしてるんだろう。


「おい」


まったく私ったら。

……早く会いたすぎて、ゆづくんの幻聴まで聞こえてきちゃったよ。


「……おい」


ああ、さすが私の幻聴。

この不機嫌具合まで精密に再現されてる。

我ながらあっぱれ……


「メガネ女ぁ!!!」


あれ!!?

幻聴にしてはド迫力すぎません!?



「ハイィィッ!!!!」


本物さながらの迫力に驚き、びくっと肩を震わせて声がした方を見ると。


「……っ」


待ちに待った人。

ずっと会いたかった人。

……幻聴なんかじゃ、なかった。



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