あずゆづ。

な、

なにか言わなきゃ。


なにか……。


「……お、おはよう…」


何か言わなきゃと思って出てきたのが、『おはよう』だった。

いつもしている挨拶が、こんなにもぎこちなく、緊張するものに変わるなんて。


「おはよう」


しかしゆうちゃんは、全く緊張していない様子でふわりと笑顔を浮かべて挨拶を返してくれた。


「……」


それからすぐに目をそらしたのは私だった。

だって、何を話したら良いかわからないし…

もうすぐ先生来ちゃうし…

席、戻らないと…。


そう思って、下を見た。

そうすれば、ゆうちゃんと目が合うこともなくなるから。

私はそのまま下を向き、ゆうちゃんの席の前を通過して自分の席へむかう。


「………う~……」


ねえ何この状況。

頭の中パンクする勢いでごちゃごちゃする。


自分の席についてから、とりあえず両手を机の上に伸ばして突っ伏した。

だってまだ下を向いていなきゃ、ゆうちゃんと目が合っちゃう。

ゆうちゃんから向けられる視線が、痛いんだもん。

どんな顔したらいいかわからないんだもん。


こ、告白とかされたの初めてで…

しかもあんなイケメンから。

クラスのみんなから、『黒の王子』と呼ばれているくらいな人から。


そんな人に告白されて、私……。

ーーーどうしたらいいか、わかんないんだもん。



< 58 / 204 >

この作品をシェア

pagetop