運命は二人を


「もう、大丈夫です。 」

スタッフにお礼を言って、受付の仕事を再開させた。

笑顔を作ってはいるが、心の中は、真っ白で、空っぽのような状態が続いていた。

一体、どうしたのだろうか?

自分の身体なのに、自分でコントロールできない。

未だかつて、こんなことはなかった。

彼に会ってから、自分がおかしいと、思わざるを得ない。

この先、どうなってしまうのかと、不安になる。

病院で診てもらった方がいいかもしれない。



受付が終了すると、楽屋にもどり、親友であり、兄の彼女である美智留に、相談した。

いつもなら、兄の演奏を一部始終聴いているのに、私にはその余裕がなかった。

美智留も、私の様子がおかしいと思ったのか、兄よりも、私を優先してくれた。
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