運命は二人を


「こんばんは、美也さん。」

「どうして、私の名前を?」

「平孝太は、俺の親友であり、同じ会社で働いている、って言えばわかるかな?」

「えっ、だって孝太兄さんは、今パリだよね。」

「そう、だから俺たちは、パリで出会った。」

「そうね、そうだったわ。 」

「警戒しないで、今夜は挨拶だけ。俺は沖田和泉。いずれ正式に美也さんに交際を申し込むつもりだから。」

そう言いながら、名刺を渡した。

もちろん携帯番号も書いて。

「では、また。」

今夜は、あまり近づき過ぎてはいけない。

まだ、めぐみさんのことがあるのだから。

両親に、話して、めぐみさんとの縁談を断らなければならないのだ。

身の周りをきれいにしなければ、孝太との約束を守れない。
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