運命は二人を


それから、二週間が、過ぎようとしていたが、彼からの音沙汰が、全くなかった。

あれは、悪い冗談だったのかとさえ、思う。

そればかりにとらわれてはいられない。

私は、卒業コンサートにむかって、ピアノの練習にのめり込んで行った。


卒業コンサートでは、自分の全てをかける気で頑張ろうと思っていた。

自分にプロのピアニストとしての、素質があるかどうかは、わからない。

家族が、みんな音楽関係者だから、自然と自分もその方向に進むものと思っていたからだ。

好きなピアノが弾けることが、私にとって、一番大事なことだ。

プロになって、仕事としてやっていく覚悟があるのかと言われると、まだできてないと言うのが、今の正直な気持ちだ。

迷いは、ずっと私を捉えていた。
< 25 / 86 >

この作品をシェア

pagetop