HARUKA~始~
第1章 高1の春、後ろの席のツンツン男と隣の席の王子様
桜は見事に咲き誇っている。


学校までの道のりは桜のトンネル。


なのにウキウキしない。

喜んで跳ねたりもしない。


朝日ヶ丘高等学校入学式と書かれた看板。
親子3人、仲むつまじく嬉しそうに写真を撮っている。


私は…唇を噛む。

血が滲み出てきそうなほどに。




式の間、私だけがカメラを向けられない。


「蒼井晴香。」


名前が呼ばれ、返事をするけれど、私の声は届かない。


ふと体育館の無機質な天井を見つめる。

冷徹な眼差しで。 



高校生活なんて、これからの3年間なんていらない。

凍てついた、死んだ魚のような目で追う3年間なんていらない。 




私が欲しいのは…。

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