HARUKA~始~
第5章 高1の初冬、立ちはだかる壁
なぜこんなことになったか、自分でも分からないことってよくある。


それは突然襲いかかってくる悲劇で拒絶で遮断で否定である。


粉々になったカケラを1つ1つ拾い集めて接着しても、それは二度と元に戻ることはない。

元に戻ったように見えても、のりとのりのわずかな隙間、キズは一生消えない。

そこから微かに声が漏れる。

自分の中にいる、奥底に眠っているはずの自分が目を覚まして話し始めるんだ。


壊れた関係を取り戻したい?

ねじれた糸をほどきたい?


問うくせに答えは出さない。答えは意識の中心で人生を営む私が出すのだ。

正しいか否かは分からない。

ただ尻込みしていても始まらない。 

うずうずしていると時は流れて行ってしまうから。

流れて星のように一瞬で過ぎ去って跡を残してはくれないのだから。


手を伸ばし、耳をすまし、目を大きく見張って現状と対峙する。


人間はこの時間が嫌いだ。

私もまた、嫌いだ。
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