君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜

 初夜

「さてと。これから、忙しくなるぞ」
カドラスの部屋を出た途端に、レイが軽口を叩いた。

何がどう忙しくなるのか、さっきの会話ではさっぱりわからないし、その理由も判然としない。


『あっちにはなんと言ってごまかしてる? この機に乗じて主導権を握るつもりか?』

『アデラのようにはいかないぞ』

『体のご奉仕はいらないからな』

先程のレイの言葉。
カドラスの表情の変化からして、きっと痛いところを突かれたのだろう。
真意を知りたかったが、自分の立場ではわきまえなければならない。

「さっきの王子さまのことを気にしてる?」
急にレイが顔をのぞき込んできた。

考え込むフィーの顔を見て心配してくれたようだが、アルベールへの皮肉も忘れていない。
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