君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
6 変化

 予知

「……ん……?」

何か物音がした気がした。

フィーはゆっくりベッドから体を起こし、重いまぶたを懸命に持ち上げながら周りを見回す。
部屋はまだ暗い。まだ深夜のようだ。
何かの音で目が覚めたのだが、異変は感じられない。普段と変わらない静寂の深淵が広がるのみだった。

……気のせい?

フィーはまたベッドに横になり、目を閉じた。朝までまだ一眠りできそうだった。


「あっ……んーっん!!」

突然、隣の部屋から女性の叫ぶような大きな声が聞こえた。

「あぁっ! ……教王……さまっ。はぁ……んんっ!」
本能のおもむくままに発せられる悦びの声。

何をしているかなんて考える必要もなかった。
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