ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
あの日を境に、あたしは学校へ行くのを止めた。

そもそも大学の推薦をもらっているあたしは、学校に行く必要がない。

それに南棟にいたあたしが北棟で学ぶことなんて、そもそもない。

ただお母さんの目がある以上、ずっと家には居られない。

なので制服を身に付け、いつも通りに家を出る。

そして近くの公衆トイレで着替えを済ませ、図書館で時間をやり過ごしていた。

そんな日々を10日ほど、繰り返した頃。

学校は、夏休みに入った。

これで明日から当分の間は、お母さんに嘘を付かなくて済む。

だけど夏が来たと言うことは、タイムリミットが近付いているということでもある。

それなのに、あたしは未だに選べずにいた。

どちらの人生を歩むか・・・

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