好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「………」
「逸らさないで。真紅。俺には彼女なんていない。それは本当」
「へ? でも、さっき結婚がどうのって……」
「うん、それはちょっと真紅をからかいたいと」
「そ、うなの?」
「うん。ごめん。ちょっと言葉が足りないと言うか……まさかそんな勘違いをされるとは思わなかった」
「……私の想像が過ぎた? 暴走だった?」
「過ぎた。だった」
真紅は目を何度も瞬かせたあと、恥ずかしくなって俯いた。もしかして、まさか。そんな言葉で頭がいっぱいになる。