好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「へー」
「疑わないのか?」
「なにを?」
「俺のこととか、話していることとか。普通に聞いたらただのヤバい奴だろ」
「あ、確かに。……でも、助けられた、のは本当だし……」
すっと、真紅の首筋に黎の指先が触れた。
「ごめんな」
「へ?」
「牙痕。これだけは俺にも消せなくて……女の子なのに、傷つけて悪かった」
最初は、血を頂くつもりで噛み付いた。
でも、生かしたいと思って、噛み付いた場所から自分の血を入れた。
人間に馴染むかは賭けだったが……真紅は、目を覚ました。