好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「真紅ちゃん、顔色悪いよ?」
「え? あ、おはよう」
義務感? わからないけれど、多分彼はこういう人間の生活はしていなかったのだろう。
ならば私が叶えなくては。だって、ね。
「おはよう。昨日も梨見(なしみ)さんのとこ?」
真紅の隣に立って歩くのは、苗字が同じというだけでよく構われて、それがちょっと迷惑なクラスメイト。
桜城架(さくらぎ かける)。
と言っても、彼に問題があって迷惑しているわけではない。
明るく社交的な性格で友達は多く、学園の人気者。
つまりは人目を集める容姿と性格と才覚のため、架を好く女子生徒が多く、その中に含まれない真紅は構われると、ついでに女子の嫉妬というおまけもついてきてしまうので困惑しているのだ。