もう一度、名前を呼んで2


沈んだ気持ちのまま藍那の家へ向かった。

いるはずがない。いたら,何かしらの返事があっていいのに…


だが他に手がかりもなく,一縷の望みをかけて家の前の門を開けた。


「!!!!っ,藍那!!」

なんと門を開いて玄関の扉の前,そこにもたれて眠る藍那の姿があった。


嘘だろ!?なんでこんなとこで寝てんだよ!!

信じられないというのが正直なところだが,見たところ外傷はなさそうだ。


「藍那!」


抱えて口元に耳を近づければ,すうすうという寝息が聞こえる。

……まじで寝てるだけ?


なんでこんなところで,連絡もとれないまま,一晩何をしていたんだ…


色々な疑問がよぎるが本人が寝ていてはどうしようもない。問い詰めて何をしていたか聞こうにも,藍那の眠りは深いようだ。

こんなにぐっすり寝るやつだったか…?倉庫ではいつもうとうとするだけでこんなにぐっすり眠っているのを見た覚えはなかった。




「…とりあえず倉庫に連絡か」


僚に電話すると物凄く驚いていた。まあそうだよな。俺も驚いた。


『とにかく,見つかって良かった。みんなには伝えておくから悠唏もゆっくり休んで』


そういうわけで,俺も家に戻ることにした。

藍那は…早朝でこの家も静かだから,ウチに連れていくか。


藍那が日本に帰ってきてからは一度も来ていないウチに連れて帰ることにした。

風斗さんからはなにも連絡がきていないし,きっと藍那が帰ってきてないことも気付いていないか気にしていないんだろう。

鳳狼の倉庫に泊まったとでも言っておこう……



藍那を見つけたことでどっと疲れた。


こんなに精神的にも参ったのは去年ぶりだ…


ぜってえ起きたら問い詰めてやる。



藍那を抱えてフラフラになりながらベッドに潜り込むと,すぐさま眠りに落ちた。


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