捨てられた町
だけど僕はそれを我慢した。


返事を聞く前に相手を抱きしめるなんて、ルール違反だ。


手を繋ぐのはいいけれど、抱きしめるのは恋人同士になってから。


そんな風に自分で一線を引いていた。


真っ赤な顔をした愛菜は今にも泣き出してしまいそうなくらい、目が潤んでいた。


僕はそんな愛菜を見て胸が締め付けられた。


告白をされて真っ赤になって泣いてしまうなんて、なんて可愛いんだろうと思った。


愛菜の事をずっとずっと大切にしよう。


そう思った。


けれど……。
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