捨てられた町
匂い
目が覚めた時、外はまだ雨が降っていた。


昨夜に比べれば小雨になっていたけれど、朝の太陽は届いてこなかった。


僕は窓から空を睨み上げた。


気持が沈んでいる時の雨は嫌いだった。


余計に気持が重たくなっていくような気がするから。


どうせなら、僕の悩みなんて跳ね返してしまうほどの晴天になってくれればいいのに。


そう思いながら1階へ向かうと、カエルが布団にも入らず大きないびきをかいて眠っていた。


雨の中散々遊び回って疲れたのかもしれない。
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