捨てられた町
「僕はあの日、遺書をズボンのポケットに入れたまま、走って来る車に飛び込んだんだ。


毎日毎日繰り返されるイジメにもう心は限界だった。親友だと思っていた連中から毎日浴びせられる罵倒。物は毎日壊されたり捨てられたりしてた」


思い出すと胸の奥がずっしりと重たくなっていく。


それでも、僕は全部を話すつもりだった。


全部を話す事で前に進める気がしていた。


「僕はわからなかった。どうしていきなりイジメられるようになったのか、僕がなにか悪い事でもしてしまったのか、ずっと悩んでた。


だけど、その理由はわからなかった。


ただ、ミサが『愛菜がルキに告白されたらしいよ! でもルキなんかと付き合うわけがないって笑ってた! だって、ルキってダサいもんねぇ!』


そう言って、みんなから笑いを取っている所を目撃してしまったんだ」
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