捨てられた町
カエルのオモチャがしゃべったり、怪物に襲われたり、取り壊した祖父の家があったり、蛇に絡み付かれたり。


僕はごく平凡な男子中学生で、そんな妙な出来事に巻き込まれてしまうような生き方はしてこなかったはずだ。


「あの蛇は生前、人間に飼われていた蛇だ。人間に無残に捨てられたため、その魂が彷徨い、ここにたどりついてしまった」


「ほら、そうやってまたファンタジーな事を言う。そんな事を言ったら今ここに僕がいるのはなんでなんだ?」


僕がカエルにそう聞くと、カエルは口をギュッと結んで僕を見上げた。


さっきまで怒ったり驚いたりした表情を浮かべていたのに、今はなんだか……泣きそうな顔に見えた。
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