Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完



あたしはお店に着くまでの間、
後生大事に西崎さんからもらったショッピング袋を抱えていた。



西崎さんはあたしを皆見店で落とすと、そのまま流川店に戻っていった。





「ただいま〜♪」



「あ、店長。お帰りなさ〜い」



「お帰りなさ〜い」



「ただいま♪ 何か変わったことなかった?」



「いえ、特には♪」



「そう。じゃああたし着替えてくるね♪」



レジカウンターに立っていた三沢さんと川本くんに声をかけて
上機嫌でいそいそと事務所に向かう。



自分のデスクに着いて
事務所に誰も入ってこないことを何度も確かめた。



だって…今のあたし、顔が緩みまくってる。



こんな顔、社員の誰にも見せられないよ。



さっきもかなり危なかった。



平静を装おうと努めても
気づくと表情に締まりがなくなっていて。



あーほんと今日福嶋くんが休みでよかったよ。



いま事務所には幸いあたし1人。



どれだけにやけても見られる人はいない。





ふぅ…と胸に手を当てて深呼吸をひとつした。



それでもドキドキはおさまらない。



だって好きな人からもらったプレゼントだもんね。



嬉しくて仕方ないよ。



あたしはそっと壊れ物を扱うようにショッピング袋からTシャツを取り出す。



わぁ…黒だ〜



あたし、黒のイメージがあるのかな?



図柄はどんなのだろう?



そう思って目の前に広げた瞬間だった。



あたしの全身が、ピシッと凍りついた。










・・・ナニコレ?







< 257 / 501 >

この作品をシェア

pagetop