Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完



ふいに、ふわり、と優しく身体を抱きしめられた。



正面からじゃなく、後ろから…



「……ヒクッ………ふく……福嶋く……」



戸惑っていると福嶋くんはさらに優しくあたしの身体を包み込んだ。



「…話せよ……楽になれるから」



すぐ耳元で低い声がする。



ふだん意地悪なくせに180度真逆の優しい声。



ずるい…



こういう時ホントずるいけど…



でも甘えたくなってしまう。



「…ゆっくりでいい……お前のペースで構わないから……」



「……ヒクッ………っ…」



「誰にも言わないから……俺にだけ話せ。

――…1人で抱え込むな」



「……っ……福嶋く…」





――小さい頃はよくパパやお兄ちゃんたちの膝の上に乗ってよく本を読んでもらってたけど。



男の人にこんなふうに抱きしめられたのはこれが生まれて初めてだった。





…何だろう。



背中越しに感じる福嶋くんの体温が妙に心地いい。



嫌じゃない。



パパやお兄ちゃんたちの膝の上に乗っている感じ…



すごく安心する。



居心地がよくて…



あたしはいつの間にか泣き止んで、胸につかえていたことを聞いてもらっていた。



その間、福嶋くんはずっとあたしを優しく抱きしめていてくれた――。









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