Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
昨晩、酔った勢いで本心をぶちまけた菜月。
あんな形で本心を知られたことは菜月にとって不本意だったんだろう。
けど菜月の本心を知ったところで今まで幼なじみとして続けてきた関係を壊すのだけはしたくない。
菜月とは切っても切れない腐れ縁だし、何より優花のいなくなった今、こうして優花の味を受け継いでいる菜月の手料理を食べられなくなるのは嫌だ。
ふと、そんな風に考えていた自分に嫌気がさした。
「…ずるいな俺は」
いつまでも菜月に優花の面影を重ねている。
菜月に何も返せないのに菜月からは確かに優花がいた証をたくさんもらっている。
本当に…
――俺はずるい人間だ。
ずるい人間なのに…
なのに新しい恋になんて…
誰が許しても進めるはずがない。
ましてや穢れのない清らかな心をもった村瀬を想うなんて…
そんなこと絶対にあってはならない――…
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