マリッジブルーの恋人たち
 試着し、彼の待つ所にいくと、すでにタキシードの試着を終えた彼が呆然とした様子で、私を見ていた。

 身長が高い彼は、グレーとタキシードに身を包み、サロンの人が顔を赤らめるほど、いつも以上に格好よくみんなの視線を集めており、私もその格好よさにドキドキした。

「新郎さん、お待たせしました!」

 担当者は、ニコニコしながら彼に声をかける。

「………やばっ…綺麗。」

 目を見開きながら、顔を赤らめボソッと呟き、久しぶりにそんな顔見たなと思っていたが、背中が大きく開いたバックスタイルをみた瞬間、また、不機嫌な顔に戻った。

「却下。」

「なんで?」

「はぁっ?玲奈自分で後ろ見てみろよ。背中開きすぎだろ!?」

「普通、ドレスは背中見えるでしょ!」

「ダメ、絶対ダメ!!」

 綺麗と言ってくれた彼は、背中がみえないもの、肩がでないもの、胸は開いてないものと訴え、担当者に迷惑をかけたのだった。

 付き合った当初から、バッチリメイクはするな、露出が高いものは着るな、髪型はそのままがいいと言われるため、彼のことを好きな私は忠実にそれを守り、今の地味な自分が出来たのだ。

 でも、本当は少しだけ肌が見えるような格好もしてみたい、パーマかけて黒髪から今流行りの色に変えてみたいと言う気持ちが、ちょっとだけあったりもする。
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