マリッジブルーの恋人たち
　学生時代の友人たちは、久しぶりにみた玲奈の色っぽい姿に驚きはせず、気が気じゃない昴の余裕のない様子を面白がっていたが、会社の方からはどよめきが聞かれた。

『めちゃくちゃスタイルいいじゃん！』
『あんな姿知ってたら、俺だって飲み会であんなこと言わないよ、さすがに。』
『そりゃ八年も溺れるわけか。』

　玲奈に対して否定的だった同期たちは口々にそう呟いていた。それを同じ席で悔しそうに聞いていたのは、七瀬比菜子だった。

『さっき二人の学生時代の人達に聞いたんだけど。麻生さん、わざと地味な姿をさせてたみたいよ！』
『やだ～独占欲？ちょっと可愛くない？』
『でも、武藤さんもよっぽど好きなんだね。好きじゃなきゃ出来ないよ～！？だっておしゃれしたいじゃん！』

　会社の女子社員は口々にそんな話をしていた。

　アットホームな二次会のような雰囲気の披露宴のためか、昔から人気の高い昴は女性陣に囲まれている。

　玲奈の周りには会社の男性陣が溢れかえっている。

　自分も女性に囲まれているにも関わらず、隣にいる玲奈が会社の男性陣に囲まれているのが嫌で堪らない昴は、玲奈を引き寄せて肩を抱き寄せながら牽制する。
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