マリッジブルーの恋人たち
 私は左手に輝る、彼が私のために選んでくれた婚約指輪を指から外し、彼の前に差し出した。

「はっ?」

 怪訝な顔をする彼と、どよめく周り。

「結婚式までの3ヶ月、これ預かっといて。」

「これ、婚約指輪だろ?何言ってんの!?」

「私の指にこれがあると、他の女に手出せないでしょ?」

 その言葉を聞くと、周りもヤバイって雰囲気になり始め、彼もハッとした気がついたように隣の女性の腕を振り払う。

「玲奈、違うっ!!」

 慌てる彼を私は冷ややかな目で見下ろした。

「損してないって?……後悔しないように3ヶ月好きにしたら?」

「だからっ!!」

「私も好きにさせてもらうから。」

 そう言って中々受け取らない婚約指輪を彼の手に握らせた。

「お騒がせしてすみません!せっかく集まってくれたのに、仕事終わらなくて、夜食買いがてら外に出ただけなの。だから、ここで失礼しますね。」

 見え透いた嘘を並べ、周りのみんなにニッコリ笑いながら、彼には話しかけるなオーラを出して、頭を下げ今来た道を再び戻った。

「いっくんも何で止めないのよ!」

と、後ろからは静華が慌てて怒る声が聞こえるが、構わず足を進めた。
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