あの夏の続きを、今


置きっぱなしだった荷物を持ってから、音楽室を出て、階段を下りる。


もう、明日が最後なんだ。本当に最後なんだ………


本当に、会えなくなってしまうんだ……


そう思いながら、重い足取りで1年生の自転車置き場の横を通り過ぎて、昇降口に入ろうとした時。


「よっ、志帆ーー!」

「うわああぁぁっ!!!」


暗く沈んだ気持ちでいたところに、いきなり後ろから声をかけられたもんだから、びっくりして肩から提げていた学校指定の鞄を勢いよく地面に落としてしまった。


「おいおい、そんなにびっくりすることないだろーが」

「……誰よ……」


鞄を拾いながら、その声のする方に振り返る。


「……なんだ、セイジかー!もう、びっくりさせないでよー」

「だって、お前、最近テンションが低すぎるんだもん!いつも悩んでるような顔してるしさー」

「観察力高すぎない?セイジ、ストーカーなの?」

「俺の趣味は人間観察だから」

「あ、そうなの……って、変な趣味」

「でも、あんなに悩んでる顔してたら、心配になるのは当たり前だろーが」


……どうやら、やっぱり私は思っていることが顔に出てしまうらしい。
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