あの夏の続きを、今

夢を奏でた夏




【2016年 8月10日



吹奏楽コンクール 中学校A部門



────県大会 本番 】





「それじゃあ皆、それぞれの思いを奏でる準備はいいか?」


『はいっ!!』


部員たち皆が揃った会場のチューニング室に、寺沢先生の声に続いて皆の返事が響く。


────次の次の番が、私たちの本番だ。


会場はいつもと同じ、K市民会館。



「それじゃあ皆、行こう!」


チューニングの時間が終わり、寺沢先生の合図と共に、部員たちは並んで部屋を出ていく。


真っ白な廊下を抜けて、薄暗い舞台裏へ。


この光景ももう見慣れたとはいえ、A部門として初めてここに来るとなると少し緊張してしまう。


「志帆〜、どうしよ〜、緊張する〜」


カリンはそう言いながら私の制服のブラウスの袖にしがみ付いてくる。


「もう、カリン、最初の本番の時もそれ言ってたでしょ、相変わらずだよね」

「だって〜、緊張するんだも〜ん」

「はいはい、いつも通りのカリンで私は安心だよ。っていうかここ舞台裏だから、静かにしないと」


そんなカリンと私を見て、後ろに並ぶ後輩たちはクスクスと笑っている。


「それでもカリン、前みたいに声震えてないし。本当はもう、自信あるんでしょ?」


私がそう言うと、カリンは「まあね、いっぱい練習してきたもん!それに、志帆やみんながいれば、安心だよ」と言って、私たちパートメンバーの顔を一人一人見ていく。


「アズサちゃんも、ユイちゃんも、エリカちゃんも、モモちゃんも……みんなみんな、上手くなったよね。これなら次の代も安心だよ」


カリンがそう言うので、私は、「ちょっとー、今日で終わりみたいなこと言わないで、中国大会目指すんでしょ?」と言うと、カリンは「そうだったそうだった」と言って笑う。


「みんながいれば、きっとどこまでも行けるよ。だから、頑張ろうね!」

「うん!」「「「「はいっ!」」」」


私の呼びかけに、希望に満ちた瞳でカリンと後輩たちが返事をすると同時に、前の学校の演奏が終わった。


────ついに、私たちの番だ。

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