SUMMER PARTY NIGHT


一通り話すと、彼は満足そうな表情を浮かべて再び翔子にキスを贈る。


「You come to my room tonight, don't you?(今夜は僕の部屋に来るよね?)」


いつも部屋に誘われると不安になって断っていた。


このまま身体の関係を持っても、いい大人なのだからいいではないかと思う自分と、一回関係を持ってそのままズルズルいってしまったらどうしようと不安になる気持ちの中で揺れ動く。


結局、不安の方が毎回勝って「今日は、もう帰らなきゃ……」と終電間際に帰宅していた。


翔子が持っているカクテルを取り上げて、イーサンは残っている酒を勝手に飲み干した。


「イーサン?」


「I can't wait...(我慢できない)」


翔子の手を引っ張ってVIP専用ルートを使って彼女をホテルの中に連れ込んでいく。


「ねえ、待って……」


「キミハ、ホカノオトコに、サワラセタママナノカ?」


真顔で言われて首を傾げる。


一瞬何のことを言っているのか分からなかったが、先ほどの一日の報告の中に患者さんのおじいちゃんからお尻を触られた話をしたことを思い出す。


「いやいや、おじいちゃんだし……」


「Age doesn't matter.(年齢なんか関係ないよ)」


少しだけ怖い表情を浮かべてイーサンは翔子に言った。


ナイトプールのように光る青い目に、捕らえられて身動きが出来ない。


バスタオルごと抱きしめられて、深いキスをされる。


イーサンの首筋から垂れた水滴が、翔子の胸元に落ちた。


彼の舌が翔子の舌を捕らえて、そして少し遊びながら行為が深くなっていく。


「Would you like to have sex here or will you go to the room? You decide.(ここでセックスするか、部屋に行くか。君が決めて)」


甘え声で耳元で囁かれると腰が砕けそうになる。


「Plese wait...Ethan(ねえ、待って……イーサン)」


「No wait.decide now.(待てない。今決めて)」


泣きそうな顔をしたってだめだよ。


僕は嫉妬してるんだ。


誰にも翔子を触らせたくない。


首筋、頬、額、唇、指先。


あちらこちらにキスの雨を降らせながら、イーサンは言った。


「I'll go to the room...(部屋に行きます)」


絞り出すような声で翔子が言うと、イーサンは早口の英語で「後悔しないでね」と言った。

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