[完]その口、利けなくしてやるよ。

俯くあたしに


「ねえ、あの時私たちが来る前…何があったのか、覚えてないんでしょ?」


美思はそう声をかけた。


あたしは静かに頷く。


「そうだよね。…それをさ、知りたいって思う?」


「え?」


美思の顔を見ると、微笑んでいた。


その微笑みにあたしは少し…動揺していた。


「…光都は、私にも言わなかった。あの時二人に何があったのか。あたし達が着いた時、光都の話からだと明星ちゃんが倒れて数分後だったみたいなの。……けど、光都はね?何も言わないくせに、顔色はすごい悪いし、悔しさと焦りと……たくさんの顔が見えた。」


出会った時から、そんな顔みたこともなかったあたし。

だからか、光都の表情がうまく想像出来ない。

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