御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
昨日の口ぶりでは、一木さんはそれも理解しているのかもしれない。

私が桑田さんに返事をすると、一瞬眉根を寄せた一木さんは、私に小さくうなずいてみせる。
まるでその棘のある発言を『許してやってくれ』と言っているかのようだった。


弁当を勢いよくかき込み、他の人たちより早く仕事を始めた。
質が期待できない私は、量をこなすしかない。

午前中に頼まれていたレポートのコピーと、そのファイリングを黙々とこなしていると、しばらくして一木さんがやってきた。


「休憩はきちんととれ」

「ありがとうございます。でも、大丈夫です」


一木さんたちのように勝負に出るようなこともない私は、ただ間違いがないかにだけ心を配ればいい。

こうやって少しずつ仕事を覚え、いつか彼に頼られるような存在になりたい。
私は気持ちを引き締め、目の前の仕事に取りかかった。
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