御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「あの、下のお名前聞き忘れてしまったので、”五木ひろし”でお取りしました。すみません……」


私が言うと、彼はクククと笑い出す。


『あの、俺……五木じゃなくて、一木(いちき)。五じゃなくて一』

「はっ、嘘……。すみません!」


どうしよう。やってしまった……。


『しかも”ひろし”って……。でもありがとう。蓮川さんのおかげで、親父のところに行ける』


今度は凛々しい声がした。


「はい。お気をつけて」

『ありがとう』


よかった……。
私はホッとして電話を切り、あゆみに合流して掃除を始めた。


五木さん……じゃなく、一木さんのことはホッとしたものの、問題は自分だった。

マンスリーマンションに住んでいて、今週金曜、あと二日で来月分を払わなくてはならないのに、五千円ではどうにもならない。

給料日は来週末。
前借なんてできないし……。


「はぁ……どうしよう」

「ん、なんか言った?」

「ううん。なんでもない」


最悪、あゆみから借りる?
でもあゆみだって余裕のある生活をしているわけじゃない。

頭を抱えながら、黙々とテーブルを拭いていった。
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