【短ホラー】ドウソウカイ。
ドンッという音と共に男が引き摺ってきたそれを投げた。


あたしの横にそれは転がった。


横目で見るとそれは、上下お揃いの黒いジャージを着ていた。


あたしはそれを足元から上にたどるように見た。


袖から出る手は大きくて骨張っている。
手には黒いシミのような斑点が数個あった。


体格からして成人男性だろうか……。



ゆっくりとその顔を覗く。


仰向けに寝そべった彼の顔の右半分が見えた。


顔中赤く腫れ上がっていて皮が捲れていた。

頭から伝わる血のようなものが顔の肌に根を張っていた。


ドクドクと溢れるそれは生々しくて吐き気がした。



だけどあたしは目が離せなかったんだ。




どうして、この人がここに……?




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