真夏の恋の物語
第6章 祈り
私は、病院に泊まり加奈子さんが目を覚ますことを祈るしかなかった。

待ち合い室の電気は全て消えて静まりかえっていた。

警察が病院で事情聴取をうけた。

今日、加奈子さんの歓迎パーティーを行う予定だった話を警察に伝えた。

警察の話だと、加奈子さんは喫茶店に向かっている途中に事故に遇ったみたいだと。

やっぱり加奈子はお店に向かっていたんだ。

ひき逃げした犯人はまだ見つかっていない。ひき逃げ犯に段々と怒りが込み上げてきた。

私は、いつの間にか加奈子さんを思う気持ちが強く勝手に恋人のような愛情を抱いていた。

私は待ち合い室の椅子でうとうとしていた。

香織「マスター。」

典子「マスター。」

彼女たちの声で目が覚めた。

朝比奈「あー、もう朝かあ。」

典子「あんまり寝てないんじゃないの?」

朝比奈「いや、大丈夫だ。」

彼女たちと話をしていると看護師と医師があわただしく走り去って行った。

まさか!私たちは加奈子さんのことが気になり加奈子さんが寝ている集中治療室へ向かった。

しかし、入ることは出来ない。

彼女たちは両手を合わせ祈るようにしていた。

そして数分後、集中治療室から医師が出てきた。

医師「三浦さん、残念ですが…。」

えっ?

香織「加奈子さん…。」

舞「うそっ!」

そして典子が大きな悲鳴をあげた

典子「いや~」

加奈子さんが、死んだ?嘘だろ?

私たちは加奈子さんが眠る部屋に入って加奈子さんの顔を見た。

頭には包帯が巻いてある。

香織「加奈子さん、起きて。」

舞「加奈子さん。」

三人は泣きじゃくった

私も目から涙がこぼれ落ちた

警察も集中治療室の外で、ひき逃げ事故からひき逃げ死亡事故として切り替え犯人を探そう。と話していた。

私たちは加奈子さんの寝顔をずーっと見続けたあと、病院を出ることにした。

加奈子さんの遺体は警察署に引き渡すことになっていた。

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