オフィスに彼氏が二人います⁉︎
じゃあ、キスしそうになってしまったあの時、久我くんも私と同じくらいドキドキしていたのかな?


……そこまでは、聞けない。


だけど。




「……七香?」

「え……?」


「……何でそんな顔してんの?」


え? そんな顔って……?



「どんな顔?」

「……キスしたくなる顔」

「えっ⁉︎」

「……なんてな。今日も一日がんばろうぜ」

そう言って久我くんは私に背を向け、デスクに戻ろうとするけど。


足を止め、もう一度私に振り返り。


「今まで俺の前でそんな顔したことなかったよな」

「え?」

「ということは、これからチャンスがあるって思ってもいいよな」

言い終わると、彼は今度こそその場から去っていった。


だ、だから、私はいったいどんな顔してるの⁇


制服のジャケットのポケットからハンドミラーを取り出して自分の顔を確認すると、耳まで真っ赤になっていた。
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