オフィスに彼氏が二人います⁉︎
番外編 久我side
七香と正式に付き合い始めて、三ヶ月が経った。
最初こそ、キスやそれ以上のことにも時間が掛かったものの、今はそういう恋人らしいこともしているし、順調だ。
ラブラブ感はあまりなく、今までのような友だち感覚が続いている部分はあるけれど、そういう感じが心地良い。


ケンカもないし、このまま順風満帆にやっていって、いつかは結婚ーーなんてさすがにまだ考えが早いか。そんな風に考えていた、ある日のことだった。


「紘希に彼女が出来るなんてなー」

七香とよく来る居酒屋の個室で、同期の井島と仕事終わりに飲みに来ていた。
井島とは仲が良いが、会うのは久々だ。
今日は二人で飲みながら、『彼女が出来た』と報告をした。

井島も七香のことは当然知っているのだが、彼女が七香だということはまだ伏せている。銀行は基本的に社内恋愛禁止だし、他の同期にもまだ内緒にしておこう、と七香と決めている。


「彼女、どんな子? 顔かわいい?」

「かわいい」

「性格はかわいい?」

「かわいい」

「あームカつく」

「羨ましいだろ」

本当はもっと七香とのいろんなエピソードを語りたい。そしてノロけたい。でもグッと堪える。


すると、その時だった。


「あれ? あそこにいるの七香じゃね?」

「えっ⁉︎」

井島の言葉に、俺は驚いて首をぐりんと動かし、身を乗り出しながら井島が指差す方を見る。

確か、七香も今日は高校時代の友だちと飲みに行くって言ってたな。どこ行くかは聞いてなかったけど、同じ店だったのか。
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