狼社長の溺愛から逃げられません!
 

「社長……!」

私のノートを無断で取り上げ不機嫌そうに読んでいるこの人は、私が務める映画配給会社『シネマボックス』の社長、黒瀬耀だ。

「なんだこれは」

怯える私に、威圧感のある低い声で短くそう問う。

「私が担当することになったフランス映画の『ルイーズ』のキャッチコピーを考えていたんですが……」
「お前、キャッチコピーの意味、知ってるか?」

形のいい眉をひそめたするどい視線が、ノートから私へ移る。

「えっと、商品や作品に興味をもってもらうための短い宣伝文、です」

恐る恐る答える私を、軽く首をかしげて見下ろす整った顔。長い睫毛にふちどられた二重の瞳が少しも笑ってなくて怖い。

「この文章で人の興味を引けると思うか?」
「ええと……」

社長につめよられ、緊張と恐怖で思わず涙目になり口をつぐむ。そんな私にため息をついた社長は、持っていたノートをデスクに置いた。

社長が私の背後からデスクに片手をつき、置いたノートを見下ろす。
すぐ横にある男らしいあごのラインから首筋が色っぽくて、慌てて視線をノートに落とした。
私の肩に社長の体が触れて、思わずドキドキしてしまう。

 
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