【完】雨ふって、恋、始まる。



『身体貸してあげる』って、なに__!?



真っ黒な髪に、まっ白な肌。黒のキャップをかぶっている。


それらから雨水が滴り落ちる様子は色っぽすぎて、見惚れてしまう。


それに、なんていうか、この人からにじみ出るオーラのようなものが……


わたしを無性にドキドキさせる。


「どうする?」


どうするっていわれても……。


ひとまず、はやく傘に入ってもらおう。


「ど、どうぞ」


手を伸ばし、少年の頭上に傘を持っていこうとしたら


「ありがとう」傘を奪われ、グイッと抱き寄せられる。


__!!!


「な、なにするのっ」


「こうやって近寄れば、濡れないでしょ?」


ごもっともだが、見知らぬ男の子とこんなにくっつくのは抵抗がある。


……はずなのに。


あったかくて。甘い香りがして。妙に心地良いのは何故?


「明日、晴れるかな」すぐそばから聞こえてくる、透き通るように綺麗な声。


今じゃなく、明日の心配してるの……?


「貸してごらん」腰にまわされていた手が離され、エコバッグを奪われた。


「え!?」


「持ってあげる」


「悪いです……!」


「言ったでしょ。身体、貸してあげるって」

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