好きな人が現れても……
知らなかった事実
月曜日はいつものようにラッシュを避けて早目に出社した。
この間と同じく課長も来てることを願ったけどいない。
庶務課の入り口でボンヤリと佇み、空席状態の課長のデスクを眺める。


この二日間、自分の浅はかな行動に悶えながら過ごした。
思い出すのは驚いて私を見つめる課長の丸い瞳と呆れるような口調の相川さんだけ。

自分が何を言ったかはまるで思い出せないままだけど、絶対に困らせるようなことを言ってる筈だ。

そして、それをきっとあの場に居た人達は見てたし聞いてた。
それなりに酔ってる人も多かったと思うけど、冷静な人は何あれ?と冷めた視線を送ってきてたことだろう。


始業時間が迫った頃、庶務課の女子達が部署内に入ってくる。
金曜日はお疲れ様〜と言い合い、誰もが何となく嬉しそうだ。


「あっ…葉月!」


杏里ちゃんの呼びかけにドキン!と胸が弾んだ。
何を言われるのかと思いながら目を向け、おはよう…と消え入るような声を出した。


「おはよう!金曜日はお疲れ様」


イキイキとした表情で挨拶され、ゴショゴショと濁すような感じで、お疲れ様…と言い返す。


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