羽をくれた君へ。
頭で繰り返されるのは智兄の言葉。


冗談?


ドッキリ?


それとも・・・・・・・・・・


だって、魁音はお母さんの実家に居るって言った。


2週間も?って思ったけど、智兄は魁音はお母さんの実家が好きだからって。


そう言ってた。


なのに、なんで急にそんなこと言うわけ?


電車から降りて、美紅さんのお店を通り過ぎて病院に向かう。



冬なのに、コートとスカートで家を出て来ちゃった。


走るたび首が寒い。


そして、今。


智兄の目は赤く腫れていた。


「・・・・・・・・・嘘じゃないの?」


お願い。


嘘って言ってよ。


智兄。


「雫。嘘じゃないよ。・・・・・・・昨日の夜中、魁音は行っちゃたんだ。」


そ、んな。


魁音、こないだまで元気だったじゃん。


一緒に水族館行ったじゃん。


イルミネーション綺麗って笑ったじゃん。


プラネタリウムまた行こって言ったじゃん。


智兄に言われても信じられなかった。


私は智兄を見て首を横に振った。


「違う、違う、・・・・・・魁音は私に何も言わずに行ったりしない。」


「・・・・・言わないでって言われたんだ。魁音に。」

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