羽をくれた君へ。
雫は家に居場所がないと言った。


だから俺は早めに家を出て駅で待っていると雫に伝えた。


駅で待っていると雫を見つけた。


名前を呼ぶと満面の笑みで俺に抱きついてきた。


俺は身体が丈夫じゃないから咳が出てしまったけど、上手く誤魔化した。


日々、死に近づいているんだから仕方ない。


雫が本当に嬉しそうに笑うから、雫の家は本当に大変なんだと思った。


俺の母親も、タイプは違くても雫の母親と変わらない。


いつもの音楽スタジオに行くと、俺が初めて来た時みたいに目を丸くする雫。


リクを紹介すると少し警戒していたみたいだった。


でもだんだん慣れてきたみたい。


俺はいつもの部屋に行くとエレキを手に取った。


そして俺のギターに合わせて雫が歌う。


あぁ、やっぱり俺はいいもん見つけた。


雫の声はもっともっと大きく成長する。


プロになれる。


俺が、雫の声の可能性をもっと広げてやりたいって思った。


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