キミとひみつの恋をして


噛みつくようなキスを返される。

一度触れれば、驚くほどに歯止めが効かなくなり、しばらく口づけを繰り返して……

やがて。


「桃原」


僅かに離れた彼の唇が、私を呼んだ。

そして少しの沈黙の後、雨音に重ねられたのは。


「俺と、付き合って」


欲しかった言葉。

だけど、簡単に頷くことはできなくて戸惑っていると、彼は甘えるようにまた唇を重ねてくる。


好きだよと伝えるように、何度も、何度も口付けられて。

私は……覚悟を決めて、頷いた。

内緒で付き合えば、この先、大変なこともあるだろう。

でも、曖昧な関係を続けて不安になるより前を向ける気がするから。


「みんなには、内緒だよ」


囁いて、彼はまた唇を塞ぐ。


雨の降る東屋の下、私たちの秘密の関係は本格的に始まった──。















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