渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
七章 波乱の里帰り



奴隷船に攫われた翌日。
揺れる船内で、カルデアは目を覚ました。

「……ん……ガイアス……?」

寝返りを打つと、隣には端正な顔立ちなのに男らしく荒々しい猛者の風格のあるガイアスの寝顔がある。


(長い睫毛…本当に綺麗な人だわ、ガイアスは)


カルデアは眠っている夫を見つめて、見惚れてしまう。
そして愛おしむようにして、その頬に唇で触れた。


その瞬間、手首を掴まれて、カルデアは寝台へと押し倒される。

目をパチクリさせたカルデアを、ガイアスはニヤリと笑いながら見下ろしていた。


「寝込みを襲うとは、命知らずな王妃だ」

「お、起きていたの……?」

「お前の口付けで、目が覚めた」


(たったあれだけの口付けで、目覚めてしまうだなんて……さすがは、戦士ね)


ガイアスの勘の良さに、カルデアは苦笑いを浮かべる。

そういうガイアスの髪はあちらこちら跳ねていて、いつもの男らしさに色気が増して見えた。


その髪に手を伸ばして、ガイアスがカルデアにするように指先で遊ぶ。

すると、ガイアスはくすぐったそうに目を細めた。

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