その少女、悪魔につき
美しい私と美しくないもの
美しさは、有利である。


「あっ、華ちゃーん!」
「えっ?!華ってもしかして……」

華ちゃん、その声からざわめきが増した。
私ってば、人気者ね。

「おはよう、牧野さん」
「おはよう!今日も…かわいいね!」


相も変わらず、元気な子である。
正直言えば、朝から五月蝿い。

しかしそんなことを声に出して言ってしまえば、私のイメージは壊れて、人気も駄々下がりだろう。


我慢も、美しいを保つには必要なことである。


ニコニコ笑っていると、何処からともなく風が吹いた。花のいい香り。

「わっ、いい香りするね、華ちゃん」

華ちゃんなんて、気安く呼ばないでほしい。
けども、これもまた我慢を強いられる。


「ありがとう、シャンプーの香りかな?」

まぁ一応、美には気を使っているから、いい香りがするのは当たり前に決まっている。





退屈な日々に、刺激を与えたのは『美しい自分でいること』だった。


親の顔が良かったのもあり、幼い頃からずっと可愛いと言われ育ってきた。

勿論、この容姿だからとてもモテた。
今もそれは変わらない事実だ。


だって、醜いものは生きづらいこの世で、
どうしてわざわざ自分から醜くなる理由が分からない。


美しいものは、優先順位が高い。
だから、私は美しさを求め続ける。


しかしながら、完璧さを求めすぎた故に
私はある部分が醜くなってしまったそうだ。



性格、それだけは、悪魔になったらしい。
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