ワケありルームシェア 2

「それからは、高校からの話かなぁ。あ、中学校も今みたいな感じだったよね。」
「うん。」
「ほらぁ、僕達のはそう深いものではないでしょ?秘密が聞けて満足かなぁ。」
理駆先輩が笑う。その笑った顔も嘘なのかな。私は、人を疑うのは苦手だよ。
「澪月、泣いてる…?」
莎駆先輩が私の顔をのぞき込む。
「え…、泣い、てる…?」
言われて気づいた。私の頬を涙が伝っている。何でだろう、秘密を教えてくれて嬉しいのに……。

「私じゃ、何も出来ないよぉ…。」

悔しい。家族間のことに口は出せない。しかも、理駆先輩達が自ら望んでやってるのなら何も言えない。
「哀川…?」
「………理駆先輩は、大変ですか…?私に、なにか出来ること、無いですか?」

上手く言葉が繋がらない。

「大変なら、助けてあげたいです。お世話になった、お礼として…っ。だけど、それを、望まないなら、何もしません…。理駆先輩達が、望まない、なら何もしません…っ!」


「哀川は、優しいねぇ。だから僕達も利用した。前に言ったでしょ。」
「澪月、優しい。だから、聞かない。」
「だけど、意外なことになっちゃったなぁ。まぁ、別にいいんだけどね。僕にとって何かが変わるわけでもないし。」
何も変わらない…。その言葉が何故か私の心に重くのしかかる。私たちがいたところで、何も出来ない…?
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