(完)嘘で溢れた恋に涙する
その瞬間、急に涙が溢れ出した。



それまで怒りこそすれど、泣きはしなかった。



意味のないプライドが涙を後少しのところで食い止めていた。



だけど、お母さんのすっかり変わってしまった顔を見て急にこう思った。



私のせいだ。



お母さんはずっと円満な家庭を作る努力をしていた。




みんなでお喋りしながらご飯を食べよう




今日学校で何があったの?




家族でどこかに行こう




いつもお母さんだけが一人で笑顔を浮かべながらそう言っていた。



お父さんも私もそんなお母さんを鬱陶しがっていた。



お父さんの、お母さんは庶民出身だから、ちょっとずれているんだっていう言葉に素直に納得していた。




なんて最低なんだろう。



お母さんは1つも間違っていなかったのに。



全部全部私が悪いんだ。



私がお母さんの努力を無下にしたから。



私がつまらなくて、高飛車で、人の気持ちもわからない、頼りない娘だから。




私がお母さんをこんな姿にしてしまった。




「ごめんなさい、お母さんごめんなさい…っ」




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