樫の木の恋(中)


それでも強右衛門は岡崎城へと走っていった。
やはり川を渡る者などいないと踏んでいた武田家の裏をかけたのだ。

川を渡ってすぐに走り出すと、濡れた体が冷えていくがそれどころではない。
今にも落城してしまう貞昌殿達のことを考えたら、思わず体が急いていくのが分かった。

夜中も走り続け、思わず馬の上で寝そうになりながらも岡崎城へと向かう。

するとお昼も少し過ぎた頃に岡崎城を見据えることができた。

「長篠城から遣いに出された鳥居強右衛門です!家康殿に会わせてくだされ!」

門番にそう頼むと、すぐに家康殿の元へと案内された。

すると岡崎城には既にたくさんの織田家の援軍が待機していた。もう来てくれていたとは、なんともありがたい話。

これなら貞昌殿も救える、そう期待を持った。


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